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肉屋の仕事、ときどき趣味の日々
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 前回のアマガミ感想からだいぶ間が開きましたが、今日ふと、先々週辺りにやっていた「ためしてガッテン!」で紹介されててここのところずっと続けているスロージョギング30分コース中に長く納まりのつかなかった絢辻さんのスキルートとナカヨシルートの在り方についてひらめきにも似た考えが思いつき、そのままあれよあれよという間にある程度自分の中で落とし所がついた気がするので、ここで一度考察として書き留めておこうと思います。




 僕の中で問題だったのは、スキとナカヨシのエピローグの内容でした。なぜスキよりもナカヨシの方がより進んだ関係を描いていたのか。つまり、単純に考えるならばレベル設定などと照らし合わせればスキルートの方がより進んだ関係になって然るべきであり、むしろこの二つのエピローグは逆にしてあった方がすんなりとプレイヤーにも受け入れられるのではないかと思ったのです。
 しかし、絢辻さんを独立した一個人として捉えるならば、もしかしたらこのエピローグもそういった彼女の事情が反映された結果のではないかと考えました。そこで僕はスキとナカヨシでは主人公と彼女の関係はどう違ったのか、どうしてあの結末に行き着いたのか、それを考えました。
 まず、スキルートを要約するならば、主人公の「無償の奉仕」と絢辻さんの「社会的に認められたい、すべてはその手段である」というスタンスの違いからくる確執を巡る話だったといえるでしょう。ここでのポイントは、絢辻さんはあくまで主人公の「無償の奉仕」という行為に興味(というか反発感というか)を抱いたのであって、最初から好意があったわけではありません。まず自分とはまったく違う人間だということを嫌というほど確認して、その結果として、次第に愛着が湧いたのか、はたまた主人公との掛け合いの楽しさが恋心に変わったのかは定かではありませんが(個人的には前者から次第に後者にシフトしていったように思えます)、主人公との"契約"を交わすわけです。ここから先は彼女の中に「主人公を失いたくない」という想いが存在することになり、これが「社会的に認められたい」という気持ちとの間でしばしば齟齬を生み、いよいよその軋轢が限界となったときに、彼女はカミングアウトを果たすわけです。つまり、スキルートでの絢辻さんは以前からの自分の願望よりも、主人公への想いをとったわけです。そもそも彼女は家庭内には見つけられなかった自分の居場所を社会というより大きな基盤に求めていたわけで、そこで認められることが家族を見返すことにもなるとも考えていたようですが、先の選択はその自身の居場所の委託先を社会から一個人(=主人公)に変えたことになります。そのことはレベル3のスキ段階におけるうさぎとかめの挿話やエピローグで絢辻さん自身が語ったその物語の結末から伺い知ることができます。
 まとめると、スキルートは主人公の存在により絢辻さんが変革され、今まででは考えたこともなかった居場所を見つける話だといえます。


 それに対し、ナカヨシルート(あ、言い忘れてましたが、ここでいうナカヨシルートとは"シリアイ"、"ナカヨシ"という進み方を前提としています)は主人公が絢辻さんに過去のトラウマ解消の協力をしてもらう中で、彼が彼女の理解者になることで、彼女の孤独を溶かす物語といえます。ここで注目すべきは、こっちのルートでは絢辻さんはカミングアウトはしていないということです。つまり、スキルートであった主人公との確執がこのルートでは存在しないのです。何故なら、彼女は主人公の「無償の奉仕」を自身に対する「優しさ」と受け取っているため、ここでの彼女は主人公に対して初期の頃から好意を持っているのです。それは主人公にのみされたカミングアウト時に言った「あなたにだけは嘘はつきたくない」という言葉からも明らかです。(自分の好きという気持ちに気づかずに、でも妙に浮かれてるスキルートもいいですが、主人公を特別視していることを自覚しつつもなかなか素直になれないナカヨシルートもまた大変よろしいですね)
 このルートではさらに、もうひとつ決定的な違いがあります。絢辻さんがクリスマス祭の実行委員長から降ろされていない点です。これと先の絢辻さんの非カミングアウトと合わせて考えると、実はこのルートでは絢辻さんの「社会的に認められたい」という願望は依然として着実に大成に向かっているのです。もちろん人気のあるなしで態度の変わる会話イベントからもわかるように、彼女も自身の願望を諦めてはいません(まあ当たり前とは言えば当たり前なんですが)。そうして、絢辻さんは見事に自身の野望と恋愛を両立させ、最終的に彼女は自分で作り上げた"家族"という居場所を得るのです。
 まとめると、ナカヨシルートは心の支えとして主人公という存在を得た絢辻さんが見事に夢を果たす話だといえます。


 こうして考えてみると、クリア直後は逆であるべきだと思えたエピローグも、それぞれの歩んだ過程に沿ったものになっていることがわかります。一概に結婚がより深い関係性を意味するのだというわけではないということに気づかせてくれた、そんな絢辻さんルートなのでした。てか、シナリオ担当がこんなことを考えてキャラ背景の造形やらルートごとのイベント内容を決めていたかどうかはわからないけども、少なくとも結果としてこういう考察ができるだけすごいことだと思いました。やはりこのシリーズは只者ではないな。



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