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肉屋の仕事、ときどき趣味の日々
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 久々に真っ直ぐな漫画を読んだ気がします。
 これは成人向け連載だったのでどちらかと言えばエロ漫画の部類に入るのですが、これはそんなエロ漫画の中に極稀に存在する、消費されるエロス以上のものが描き込まれた漫画だと思いました。
 あとがきを読むと、どうやら成人向けの連載はこれが初めてだったようで、今ウィキペディアさんに訊いてみたら、それまでは少年向け漫画を中心に活動していたようです。どうりで漫画の造りが少年漫画的なわけですね(笑) でも、逆にいえば大人である読者に如何に少年漫画的要素を子供っぽいとかいうように思わせないように描くかが非常に難しいところだと思います。
 大人の物語を少年漫画的に描くということは、成長するにつれて複雑化した考え方や人間関係などを整理し、単純化していくということです。言うのは簡単ですが、これは削ぎ落とすところをひとつ間違えば、途端に全体が薄っぺらく幼稚なものに見られてしまいます。その難しいさじ加減を、この作品は見事にやりきっている、と僕は感じました。
 甘詰留太の漫画は大人の汚い面だとか、どうしようもない周りの流れに対してもがき苦しむ少年少女やそのような心を持った大人が、最後には心の内にささやかな光のようなものを灯すような話であるのが印象的ですが、永野あかねのこの漫画は、逆にそのような逆境にも負けずに己の意志を突き通すような強さがありました。それが堪らなくて、嬉しいような、羨ましいような、ちょっと一言では言い表せないようなごちゃごちゃした感情が沸々と湧きあがってくるようでした。
 ああ、自分もこんな作品を描いてみたい。一生に一度でいいから描いてみたい。僕にそのような夢を、想いを思い出せてくれた時点で、永野あかねは僕の目標とするものを達成しているのです。そのなんと羨ましく、悔しいことか。世の中にはそのような先駆者が多くいることはわかってはいますが、その一人ひとりの姿を目の当たりにすると、どうしてもそう思わずにはいられません。

 しかし、これから年末商戦だというのに、なんとタイミング悪く読んでしまったことでしょう。しばらくは目の前の現実を見つめるためにまた努力をしなければなりません。個人の夢と多くの人の希望を両立させるのは、とても難しいですね。でも、諦めたくないのなら、この作品のように最期まで初志貫徹せねばなりません。まあ、急ぐことはできない道ですから、一歩一歩、地道にしっかりと足をつけて目標地点まで歩いていこうと思います。
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